01 やっぱりダンゴちゃん
田後の春といえば、やっぱりダンゴちゃん♪ シーズンは5月いっぱいくらいまでなので、今シーズンは終わってしまいましたが、来年機会があればぜひ行ってみてくださいね。その数にびっくりするはずです。では、写真を見ていきましょう。
これは、ストロボを使わず、水中ライトの明かりだけで撮影しました。海藻を通して透過してくる光が優しくきれいでした。なんでもストロボをたいてしまいがちですが、ときにはオフにしてみると、光の種類が変わるので写真に変化が出ます。でも、手ブレしやすいので注意が必要……。
海藻の裏表にダンゴちゃんがいたので、おもしろくて撮影しました。表の子はボケてしまっていますが……。これはストロボを両サイドから当てて光をきれいにまわしています。ダンゴちゃんは基本的にあまり動かないので、被写体としては撮りやすいと思います。
ダンゴちゃんを撮影していたら、ウミウシが後ろを通ったのでいっしょに撮影しました。このシチュエーション、田後ではけっこうあるんです。そのときに慌てずに、両方をしっかり撮影することを意識しましょう。確かに焦るのですが……。
02 ウミウシたくさん
毎年ダンゴウオに夢中になって、周りを見る余裕がないのですが、この時期ウミウシもたくさんいます。どこを見てもウミウシ……。ちゃんと探せはけっこうな種類が見れると思います。僕にでも見つけられるほどですので……。
これはミズタマウミウシ君。うねっているときに僕の目の前に飛んできました(笑)。色合いや形がかわいい子で、ダイバーにも人気ですね。立体感があるので、それが生きるような角度で撮影。この角度はウミウシ撮影の基本的な角度です。覚えておいてね。
これはフタスジミノウミウシ君。何かに登って、遠くを見ていました。その姿がおもしろかったので、あえて空間を空けて遠くを見ている感じを出してみました。小さいと思わず近寄ってしまいますが、あえて引くというのも表現の1つですね。
これは、あちこちで見かけたキイロウミコチョウです。色合いと形がかわいいので、個人的にも好きなウミウシです。ただ、小さいのが難点……。この子はけっこう動くので、動きを見ながら、形が美しいときに合わせてシャッターを切るのがポイント。後は撮影しやすい場所に来るのを待ちます。白鳥のような姿をぜひ狙ってください。
03 マクロアイドルたち
じつは地形や群れなどワイドも楽しいのが田後。でも、このときは春濁りもあってワイドはあきらめました。水温は15度ほど、まだ寒いのに生物は充実していました。これからの時期、どんどん生物が増えていくので楽しみですね。
ダンゴちゃんを撮影しようとしたら、海藻のすぐ下にいたギンポちゃん。岩に同化し過ぎて気づきませんでした……。ストロボを発光してもあまり変わりませんでした……。ギンポは表情がくるくる変わるので、枚数を多めに撮影することをおすすめします。
きれいな体色をしているヒメギンポがいました。全体もきれいなのですが、顔のアップが一番きれいでかわいいと思ったので、正面から撮影。背景をぼかすことによって、ごちゃごちゃした感じを消しました。岩の下でそっと過ごしている姿を見ると、思わず写してあげたくなっちゃいます。
ふと、見つけたホヤ。きれいな色だな~と見ていると、模様がなんだか人(妖怪?)の顔みたく見えてきました(笑)。それが説明的にも分かるように、正面から撮影。あまりぼかし過ぎないように気をつけましょう。
今回のまとめ
今回は鳥取の田後にお邪魔して撮影させていただきました。西日本の方には日本海の海は馴染みがありますが、関東からだとなかなか行く機会がありません。
日本海側は夏のほうが海の状態が良いというのを知らない方も多いはず。これからの季節、魚も増え透明度も上がります。ワイドにマクロに楽しい海なので、この夏は日本海側の海に潜るのもいいかと思います。太平洋側とは生物層も少し違いますしね。では、夏に向けて海に行きましょうーね♪
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。6年目にして「ミラーレス編」へ。スタンスは変わらず「ゆるく楽しくミラーレス!」。
>>Official webサイト:muraisachi.com
(DIVER 2015年7月号掲載)