城ケ島編 むらいさちの「ゆるフォト講座」

ダイビングの始まりを告げる気持ちのいい1枚です。 どうしても、城ケ島と城ケ崎が交ざってしまうさちです……。 さて、今月は三浦半島の先端にある「城ケ島」に行ってきました! ここに来るのはとても久しぶり。城ケ島は、東京湾と相模湾の影響を受けるポイントで、影響の受け方によって生物の種類が違います。潮当たりもいいので、生物がとても豊富な海です。ソフトコーラルも多く、潜っていて飽きることはありません。撮影時には、冬のアイドル・ダンゴウオも登場しており、かわいい姿を見せてくれました。 そんな城ケ島で2本潜って来ました。このときは残念ながら春濁りや台風の影響で海況が悪くワイドな写真は写せず、マクロメインだったのですが、そのときに撮影した写真でレクチャーをスタートしたいと思います。 都心から90分ほどで着いてしまう城ケ島、やっぱり身体は楽ですよね。では、ゆるフォトスタートです♪

01 かわいいハナタツくん発見

水中でかわいいハナタツ君に出会いました。色がきれいだし、見ためはかわいいのだけど、撮影となると強敵になるハナタツ君。人の気配が嫌みたいで、撮影しているとたいてい顔を背けてしまうんですよね……。このときは幸い(?)うねりがあったので、うねりでカメラの方に向いたときを狙って撮影しました。

色合いがとても美しくて、感動しながら撮影していると……、ふと気づく……。頭にぴよ〜んという突起が出ていることを。かわいい!! もっとそれがわかる角度で狙い直します。

これならぴよ〜んが、よくわかりますよね。撮影する被写体の特徴を捉えることはとても大切で、あとはそれをどうやって表現していくかです。見る人のことを考えて、伝わりやすい写真を意識しましょう。

イメージした撮影はできたので、次はバリエーション。わざと陰影を付けて、イメージを変えてみました。これだとちょっとかっこいい感じになりますね。こうやってバリエーションを撮影しておくといいですね。

02 コケギンポを写す

城ケ島の海では、コケギンポ君の仲間によく出会います。この子はアライソコケギンポ。数は多いので、余裕があれば、色がきれいな子を写したほうが写真的にもいいです。そんなときには遠慮なくガイドさんにリクエストしてみるのが一番です。その海を一番知っているのはガイドさんですから。

水中で真っ赤できれいなコケギンポをガイドさんが紹介してくれました。こんな真っ赤な子はなかなかいないので、モデルに決定。まず撮影したのがこのカットです。ここから調整していきます。

さち的には、背景が暗く感じてしまったので、背景を明るくしてみます。これはストロボの強さを調整しました。全体的に明るい感じになりましたね。でも、ちょっと普通すぎるかなと……。

そこで、前ボケを使ってみました。少しふんわりしたイメージになったかな? 透明度がよければ、背景にブルーを入れたいなと思いますが、このときはよくなかったので、入れませんでした。

03 ウミウシパラダイス

城ケ島はウミウシが多いです。そして潮当たりがいいので種類も多く、ウミウシファンにはたまらない海だそうです。ここでしか見られないような個体もいるとか……。被写体的にもやっぱりウミウシは外せません。今回出会った3種類のウミウシです。

まずは、アリモウミウシ。これはたぶん交接中? 色は地味めだし、わかりづらいので、こういったときにはアップではなく、少し引いて説明的に撮影します。寄ってしまうとなんだかわからなくなってしまいますからね。

スミレウミウシ。城ケ島ではこの時期になると見られることがあるレアなウミウシだそうです。正直、ヤギの先端にいたので撮影はとても難しかったです……。背景を暗めにして、色がきれいに出るように意識しました。

サガミリュウグウウミウシ。まだ子供ということもあり、色がとてもきれいでした。背景を気にしながら色のきれいさや、かわいい感じを出したいと思い、明るい色で統一しました。ウミウシは色や形がバラバラなので、その個体に合う撮影方法を考えてみましょう。

今回のまとめ

久々に行った城ケ島、7〜8年ぶりになるでしょうか。久しぶりでも海に入るとなんとなく覚えていて、やっぱりこの海は楽しいと思いました。

東京からも近くて、これだけ生物がたくさん見られるのですから、なんだかお得ですよね。マクロも充実していますし、透明度がよければワイドも楽しめます。

やっぱり自分の家の近くにホームグランドの海を持つことって大切だと思います。ダイビングも写真も間をなるべく空けずにコンスタントに潜ることがなによりも大切だと僕は思います。

コラムニスト

むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込みこの連載をスタート。6年目にして「ミラーレス編」へ。スタンスは変わらず「ゆるく楽しくミラーレス!」。

>>Official webサイト:muraisachi.com

(DIVER 2015年8月号掲載)

AUTHOR

Amano

DIVER ONLINE 編集部

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