何度食べてもホヤは苦手なさちです。今回は大好きな女川の海に潜った時の写真をお見せしながら、撮影時の解説をしていこうと思います。 ところで皆さんは女川がどこにあるかご存知ですか? 女川は仙台から約2時間、太平洋に面した漁師町です。そう、東北の海なんです。東北の海っていうと、どうしても寒くて暗いというイメージがありますよね。でも違うんです。僕がなぜずっと通っているかというと、水中がとてもカラフルだからです。ポイントも近く水深も浅く流れはほとんどないので、撮影フィールドとしても、とてもいいのです。もちろん伊豆や沖縄などに比べると魚の種類は減ります。でもその分目移りしません(笑)。1つの被写体に集中できるのです。あとは、ご飯がとにかくおいしいことです(笑)。
味は苦手だけど、被写体としては魅力的なホヤです。 これも北の海ならではです。
1. 日本一のギンポの海かと…
ギンポが多く見られるのが女川の特徴の1つです。しかも色のきれいな子がとても多いのです。赤・黄色・白などいろいろな色があってそれを探すのも楽しみの1つです。そんなギンポちゃんの撮り方をお伝えしましょう。
こうやってピンクの岩肌にカラフルな子がいるので、それだけで絵になります。
よけいなものは排除して、立体感を出すために目線を下げて撮影します。ここまで来て、穴に引っ込まないようならとても寄れる子だと判断できます。
画面いっぱいに入れるべく近づきます。モヒカンがわかるように横から撮影しました。迫力満点!
2. 女川の仲間たち その1
ここからは撮影した写真をどんどんお見せしながら、解説していきますね。
まずは人気者のダンゴウオちゃんです。じつは女川では通年見ることができるんです!やっぱり正面顔がかわいいので、正面から狙うといいでしょう。粘るといろいろな表情をしてくれます。海藻の上にいることが多いので、住んでる環境も入れています。
これも同じくダンゴウオちゃんです。色も形もだいぶ違う感じがしますが、同じ種類です。この種類は岩の上にいることが多いので、女川の岩の色にあったピンク色になっていますが、この子は海藻の上にいました。全然擬態になってないですね・・・。そんなことがわかるような角度で撮影。
心が清い人にはハートに見えます(笑)。よく見ているとこのケヤリはけっこう見かけます。背景が明るくきれいな場所に生息している個体を探しました。背景が変わると写真のイメージもガラッと変わるので、とても重要です。
3. 女川の仲間たち その2
引き続き、女川の海で出会ったかわい子ちゃんたちをご紹介します。
こちらは真っ赤なギンポちゃん。その繊細な美しさにうっとり。まるで星を散りばめたよう。模様の美しさを表現したかったので、ぐっと寄って撮影。表現したいものが決まったときにはシンプルに。
ウミウシもたくさんいます。「どこにでもいるランキング」では上位にランクインするアオウミウシくん。でも、そのボディのデザインはとても美しいと思います。下からあおることによって、空の空間を多めにして広がりをつけました。
後はみんな大好き、カムチャッカモエビ!名前を聞くだけで、北の生物だな〜と感じますよね。海藻の上に乗っていたので、そのまま写すとシンプルすぎておもしろみに欠けてしまいました。そこで前ボケを使って、ふんわりハイキーに仕上げました。小さい子なので、目にピントを合わせるのが大変でした。でもそれはとても大切なことです。
誰でも簡単・楽チンをモットーに月刊DIVERでスタートした連載「ゆるフォト」のバックナンバーです。(DIVER 2017年11月号掲載)
コラムニスト
むらい さちさん
プロカメラマンなのに、メカが苦手という致命的な欠陥があるが、だからこそメカが苦手な女性の気持ちがよくわかると勝手に思い込み月刊DIVERで「ゆるフォト」連載をスタート。スタンスは、今も変わらず「ゆるく楽しく水中写真!」
撮影協力:宮城ダイビングサービス ハイブリッジ