インドネシア・ラジャアンパット水中絶景撮影テクニック~関戸紀倫さん編~

プロのように感動的な瞬間を捉えてみたい、水中写真がうまくなりたいかた必見! インドネシア・ラジャアンパットで撮りたい、被写体別の撮影テクニックを中心に、使用している機材、カメラの設定など、ふだんは聞けない情報を自然写真家・関戸紀倫さんに伺いました。2020年2月には紀倫さん同行のツアーも開催予定。プロの撮影術を事前に予習して、実践してみましょう

INDEX
LESSON1
インドネシア周辺に生息するリボンスイートリップスを狙え
LESSON2
優雅に泳ぐタイマイの撮りかた
LESSON3
ピグミーシーホースを引き立たせるには
LESSON4
水中と森のコラボレーションを一枚に収めよう
CLUB DIVER限定
関戸紀倫さんと行くラジャアンパットツアー

ワイド派もマクロ派も大満足!  インドネシア・ラジャアンパット

インドネシアの東側に位置し、600を超える島々から成るラジャアンパット諸島には、多くのダイビングスポットがあります。
魚種・魚影ともにケタ違い! 透明度も高く、力強いサンゴの群生から大物回遊魚、マクロまで楽しむことができるダイバー憧れのエリアなのです。

LESSON1 リボンスイートリップスの群れを狙え

リボンスイートリップスの生息地

黄色い身体に黒く縁取られた白の縞模様が特徴のリボンスイートリップス。カメラ派ダイバーにとって、迫力ある群れの表情を狙うことのできるとっておきの被写体です。インドネシアとパプアニューギニア周辺にしか生息してない固有種ですが、西パプアのラジャアンパットではこれらの群れを無数に見ることができます。
しかし、撮影は意外と大変。リボンスイートリップスは水深30m付近の潮通しがいい場所に生息しているので、長居はできません。事前に自分が撮りたいイメージを考えておいて、一発で決めましょう。

アプローチ方法 潮上からゆっくり正面にまわる

リボンスイートリップスは、潮に乗って流れるプランクトンなどを捕食する習性があり、みんな同じ方向を向いて、その場に留まっています。まずは群れを驚かせないように、フィンキックをせずに潮上からゆっくりとアプローチして、群れの正面に移動して撮影します。
撮影したのはクリ島の北端にある有名なワイドポイントの「ケープ・クリ」。潮が強すぎると群れに近づきすぎて、驚かせてしまう可能性があるので必要なら着底するか何かにつかまりましょう。

● Nikon D810 ● SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE ● 15㎜ ● マニュアル露出(F11、1/80 秒、EV ±0) ● ISO 320 ● SEA&SEA YS-D2 2灯

【リボンスイートリップスの撮影術】フィッシュアイレンズで遠近感を出す

フィッシュアイレンズで正面から撮影すると、広がりや奥行きが生まれ、群れの迫力ある姿を捉えることができます。近くのものをより大きく、遠くのものをより小さく写すといった強い遠近感を持つフィッシュアイレンズ。その遠近感を生かして、群れの広がりや奥行きを捉えましょう。
下からあおって太陽の光を入れつつ、F11と絞りぎみに群れの手前から奥まで、全体にピントが合うよう撮影しました。

【1UPアドバイス】角度を変えて別の景色を見つけよう

角度を変えて、さまざまな群れの層をモニターまたはファインダーにおさめてみましょう。
この時は、後ろにヒメフエダイとギンガメアジがいたので、少し水深を上げて、群れの層がわかるように俯瞰で撮影してみました。
上の写真と比べてみると、奥のギンガメアジまで写っています。少し角度を変えることで、このポイントの魅力”魚影の濃さ”を捉えることができました。状況に応じていろんな角度から撮影してみましょう。

角度を変えることで生き物の群れの層と水中世界の広大さを捉えた1枚に

【1UPアドバイス】撮影前のブリーフィングが重要

被写体の具体的な情報を仕入れておくことが大事です。
ブリーフィングでは、被写体が「どんな場所に」「水深何mに」「どんな動きや習性があるか」などをしっかり聞くこと。事前の情報がなければうまく撮影するとこができません。気になる点があれば直接ガイドに尋ねましょう。その情報をもとにシミュレーションして、どんな撮影現場になるのかをしっかりと予測することが重要です。

LESSON2 優雅に泳ぐタイマイの撮りかた

ウミガメは遭遇率がほぼ100%の海まであるといわれています。いつ、どこで見ても癒しの存在なだけあって、多くのダイバーから愛されています。息継ぎをしに水面に上がってくるときにはスノーケルでも出会えるので、ノンダイバー、老若男女問わず人気が高いです。ただ見るだけではなく、写真映えもする人気の被写体です。

【ウミガメの撮影術】よく観察して動きを先読みする

透明度がよく、太陽の強い光が水中を照らしている日だったので、背景に太陽を入れて南国らしい雰囲気を強調しました。
絞り値を上げ、ストロボはオフにしてウミガメのおなかは黒く塗りつぶし、シルエット風に撮影すると後ろの青も引き立ってきます。
ウミガメと並行しながら動きを観察し、前足を上げた瞬間がシャッターチャンス。撮影者はしっかりと中性浮力を取ることもポイントです。
ウミガメは必ず水面で呼吸するタイミングがあるので、その瞬間を待って撮影すると良いでしょう。

● Nikon D810 ● SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE ● 15㎜  ● マニュアル露出(F9 、1/80 秒、±0EV) ● ISO 100 ● WB オート

【1UPアドバイス】タイマイらしさはクチバシで決まる

中層を移動しているときのかわいい表情や動作をどう撮影するか、これもいくつかコツがあります。
下は先のシルエット写真の数秒前に中層を移動しているときのシーンですが、タイマイの表情はクチバシがポイント。
事前に進む方向を読んで先回りをしてじょじょに近づき、タイマイ独特のとんがったクチバシをかわいく写してあげると、“タイマイらしい表情“を捉えることができます。

中層を移動しているタイマイ

焦りは禁物! ゆっくりアプローチしよう

ウミガメを見つけても、いきなり近づくのはNGです。人間と同じで驚かされるとビックリしてしまうので、少し離れたところからゆっくりアプローチしましょう。ウミガメより水深を下げてゆっくりと下に潜り込みタイミングをみて撮影すると、シルエット写真がうまく撮影できます。

ワイドで有名な「ケープクリ」

リボンスイートリップスやタイマイの写真を撮影したポイントは、「ケープクリ」。クリ島の北端にある有名なワイドポイントで、水深40mほどまで続くリーフスロープを潮流に合わせて潜ります。ここは潮がかかりやすいこともあり、バラクーダやイソマグロなどの回遊魚をはじめ、多くの生き物が集まってきます。

LESSON3 ピグミーシーホースを引き立たせるには

マクロ生物も豊富なラジャアンパットではピグミーシーホースも見ることができます。
しかし、生息地は比較的深場のため、無減圧潜水時間の中で撮影をしなければなりません。さらにヤギの中で上手に擬態しているため、見つけるのはひと苦労です。もっとも難しいのは目線が合ったショット。とてもシャイで、思うように顔を見せてくれないのです。

【ピグミーシーホースの撮影術】目にピントを合わせる

F値を絞るか開放するか、ボケ具合は好みになりますが、ピントは目に合わせたいところ。設定を変えずにオートで撮影すると、カメラにいちばん近い口にピントを合ってしまいがちです。
そんなときは、AF撮影でフォーカスモードを「シングルポイント」に設定してみましょう。構図を決めたらフォーカスポイントを目に合わせ、タイミングをみて撮影します。

● Nikon D810 ● NIKONR AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED ● 105㎜ ● マニュアル露出(F8、1/160 秒、EV ±0) ● ISO 400 ●WBオート ● SEA&SEA YS-D2 2灯

【1UPアドバイス】深場で撮影するにはストロボが必須

自然光で撮影するのは難しいので、ストロボやライトは必需品です。ストロボを使うと、背景色の青色も相まってヤギのピンクの色が引き立ち、生き物が持つ色をそのまま写すことができます。

【1UPアドバイス】まぶしいライトは控えめの使用で

ライトは当てすぎないでひたすらタイミングを待ちましょう。ピグミーシーホースは潮通しがいい場所に生息していることが多いので、手ブレしないようにしっかりと着底しカメラを固定します。着底ができない場所なら、岩などにつかまって顔を出す瞬間をじっと待ちましょう。
水深が深く暗いので、フォーカスライトがあると便利ですが、ライトを当てすぎてしまうと余計顔を引っ込ませてしまうので、なるべく使用は控えめに。また、限られた時間の中ではありますが、引きで撮影したり寄りで撮影したり、縦位置などいろんな構図を作ってみましょう。

縦位置ならシーホースそのものが引き立つ

美しいサンゴが広がる「メリッサズ・ガーデン」

ピグミーシ―ホースを撮影したポイントは「メリッサズ・ガーデン」。ピアニモ島にある、美しいサンゴ礁とスズメダイが魅力的なポイントです。マクロ生物だけでなく、魚の群れも楽しめます。水面休息では、展望台に上がることができ、ラジャアンパットのすばらしい景色を望むことができます。

LESSON4 水中と森のコラボレーションを1枚に収めよう

マングローブの森、光のカーテン、ソフトコーラル、生き物が1枚に収められる、なんとも不思議な光景が広がっています。島と島に挟まれた地形で、潮の満ち引きによって強い潮流が生じることもありますが、ラジャアンパットを訪れたら、ぜひこの美しい光景の撮影にチャレンジしてほしいところです。

【流れが強い環境での撮影術】シャッタースピードを上げてブレを防ぐ

水深も浅く、強い自然光の影響があったのでF値を絞り、ISO感度を少し上げて、たくさんの光を取り込んで撮影しました。水路の端は激流とまではいきませんが、多少流れが強いのでいつもよりシャッタースピードを速めて、できるだけブレを無くしましょう。

● Nikon D810 ● SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE ● 15㎜  ● マニュアル露出(F9 、1/60 秒、±0EV) ● ISO 400 ● WB オート ●RGB lue System02 PREMIUM COLOR 2灯

【光が弱いときや逆光時の撮影術】水中ライトのやわらかな光で補う

光が弱いときや逆光時などは、イゾバナやソフトコーラルを少し下からライトで照らしてみましょう。木々の間から入り込んでくる柔らかい自然光を生かせる環境では、ストロボの強い光で発光すると陰影が強く出て、被写体が固めに写ってしまいます。自然光のふんわりした光を生かすには、ライトのやわらかい光で補いましょう。

【1UPアドバイス】別の角度から大胆にあおってみる

自分の好みに合ったイソバナなどソフトコーラルが決まったら、撮影するポイントを探しましょう。上の写真は少し引きぎみで撮影しましたが、大胆にあおって撮影すると、また違った雰囲気になります。

【1UPアドバイス】光が差す水中の光景はあおる角度がポイント

木々からあふれる“光のシャワー”を入れるなら、水平に撮影するよりも下からあおるのがポイントです。水面の木々と光の筋を活かして美しい構図になります。

世界が注目する「パッセージ」

水中から森を写し出す、なんとも不思議な光景を撮影できるポイントは「パッセージ」。島と島の間の水路がまるで川のように流れる珍しいポイントで、世界中のカメラマンやダイバーを魅了しています。潮通しが良く、豊富な栄養分が流れ込んでくることもあり、巨大なイソバナやソフトコーラルが群生しています。

(写真=関戸紀倫)

CLUB DIVER限定 自然写真家 関戸紀倫さん同行ツアー

CLUB DIVERでは、上記で紹介したテクニックを早速実践できる、関戸紀倫さん同行のラジャアンパット7日間のツアーを企画しました。プロと一緒にダイビングができ、撮影のアドバイスも受けられる機会はなかなかありません。ツアーの模様は、雑誌「DIVER」でも紹介予定です。
貴重な体験ができるのは、先着10名ですのでお申し込みはお早めに。

ラジャアンパットへの行きかた

日本 各地空港(羽田・成田・大阪)発でジャカルタへ
ジャカルタ 日本より約8時間
マカッサル 国内線乗り継ぎ約2時間でソロンへ
ラジャアンパット ソロン空港到着後、港まで送迎(車で約10分)、ボートで約2時間半移動し、到着

ラジャアンパットのおすすめスポット・基本情報はこちら!

教えてくれたのは

関戸紀倫さん
自然写真家。沖縄でインストラクターとして活躍後、オーストラリアに拠点を移す。ダイビングクルーズなどでガイド経験をした後、オーストラリアを一周するとともに写真に専念。帰国後はフリーランスカメラマンとして水中写真や陸の風景写真など多くの作品を手がける一方、映像クリエイターとしても活躍している。

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Suga

DIVER ONLINE 編集部

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