マリン
ビギナーダイバー。昨年からトレーニングしているが、なかなか上達しない。口は一人前
ジョー
経験本数100本以上の中堅ダイバー。三味線の名手らしい
蝶々夫人
知識豊富なインストラクター。しかし、セレブ一家に育ったため、世間知らずなところがある
♂から♀へ、♀から♂へ
恋の道は1つじゃない
マリン:海には、ステキな出会いがありそう〜。
ジョー:広い海で、同じ仲間でしかも理想の相手を見つけるのって、
考えてみたらすごい確率。これを運命と呼ばずして、なんと呼ぶ!?
マ:もしかして、海の生き物のことだった?
蝶々夫人:海の生き物には、性転換という秘策があるから大丈夫よ。
マ:オスがメスになったり、メスがオスになったりするってこと?
ジ:そう。もちろん手術は必要ないぜ。
蝶:海の魚類は、約2万7千種いて、そのうち300種くらいが性転換するの。
しかも、そのほとんどはサンゴ礁域の魚だから、
ダイバーにとっても、興味深い話よね。
ジ:有名なのはクマノミの仲間だよな。
大きい親分みたいなのが1匹いるだろう?
あれがメスで、他の小さいのは全部オスなんだぜ。
マ:えっ、そうなの!? 大きいのがオスで、メスや赤ちゃんを守るパパだと思っていたわ。
蝶:唯一のメスが死んだりいなくなったりすると、
いちばん大きなオスがメスにヘンシ〜ン。
2番目に大きなオスとペアになって卵を産むのよ。
ジ:実に合理的。大きい順ならケンカもおこらないしな。
マ:逆にメスがオスに変わることもあるの?
蝶:あるわ。ハナダイの仲間が特徴的かしら。
マ:知ってる〜。とくにきれいな模様をしたオスを中心に、
メスがたくさん集まって、群れというか、
ハーレムを作っている魚たちでしょ。
あれも性転換するの?
蝶:そうよ。
これまたオスが死んだりするといちばん大きなメスがオスに性転換するの。
マ:種類によって、メスからオス、オスからメスへと転換する方向が決まっているわけね。
蝶:環境や状況によってオスでもメスでも
どちらにでも性転換できるものもいるのよ。
ジ:それは便利だな〜。
蝶:ベラやハゼの仲間が知られていて、
ある実験でハゼの仲間のオス2匹を水槽に入れておいたら
小さいほうがメスになっていて、
逆にメス2匹を水槽に入れておいたら、
大きいほうがオスに性転換してペアになっていたらしいわ。
ジ:人類が地球上で男2人だけになってしまったら絶滅するしかないけど、
魚たちは生き残れるというわけか。たくましい!
マ:でも、毎日顔を合わせている相手が突然異性になるなんて、
どんな感じなのかしら?
ジ:マリンならありえないこともないかもな。イッヒヒヒ!